母の背中は、いつも何かを作っていました。
小さい頃、夜になると台所の隅で、母が布を縫う音がしていました。カチャカチャ、チクチク。その音が眠れない夜の子守唄みたいで、私はいつの間にか眠りについていました。
母が何を作っていたのかは、よく覚えていません。でも、その「作っている姿」だけは、今でも目に焼き付いています。
母は不器用なことも多い人でした。でも、手を動かすことだけは、やめませんでした。
うまくできなくても、また次の日も布を広げていた。そんな母の姿が、知らず知らずのうちに私の中に染み込んでいたんだと思います。
だから今の私があるんじゃないかな、と。
私がハンドメイドを続けてきた理由の一つは、間違いなく母の影響です。
結婚して、子どもを産んで、いろんなことがありました。楽しいことよりも、苦しいことのほうが多かったかもしれない。それでも手を動かしているとき、不思議と気持ちが落ち着きました。
あのとき、どうしてこんなに手仕事に救われたんだろう、と今になって思います。きっと、母から受け取ったものが、体に染みついていたんでしょうね。
針を持つと、母のことを思い出す。それがつらくもあり、でもどこか温かくもある。そんな気持ちが、今も私の手を動かしてくれています。
母はもういません。
「もっと話しておけばよかった」「もっと隣に座っておけばよかった」という後悔が、今でも胸の奥にあります。
でも、母の背中が教えてくれたことを、私は今も続けています。それだけは、言えます。
手を動かすこと。作り続けること。うまくなくても、続けること。
それが、私の原点です。
夜、眠れないときがあります。いろんなことを考えてしまう夜が、今でもあります。そういうとき、母のことをよく思い出します。
ゆっくり眠れる夜が、私には何より大切で。枕ひとつで、こんなに変わるんだと気づいたのも、最近のことです。もし眠りに悩んでいる方がいたら、よかったらご覧ください。

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