ふと、どこかへ行ってしまいたいと思うことがあります。子どもたちは独立して、毎日は静かで、誰かと話したくても声をかける相手がいない。そんな夜に、窓の外を見ながら「どこかへ行きたい」と感じる。その気持ち、おかしくありません。むしろ、それはあなたの心が「変わりたい」「生きたい」と言っているサインです。
今回は、50代・60代のひとり旅について書きます。旅の技術や節約術ではなく、寂しいときに旅に出ることの意味と、ひとりでも寂しくない旅の楽しみ方をご紹介します。
寂しいから旅に出る。それでいい。
旅に出る理由は、明るくて前向きなものでなくていいと思っています。「楽しみたい」だけじゃなく、「気分を変えたい」「自分を取り戻したい」「ただ、今いる場所から離れたい」——そういう気持ちで旅に出ることは、何もおかしくありません。
むしろ、50代・60代のひとり旅には、そういう「逃げるための旅」が似合います。逃げることは、弱さではありません。また戻ってくるための、勇気ある一歩です。
お金はある。でも何に使えばいい?
「お金はあるけど、使い方がわからない」という方は意外と多いです。長い間、家族のためにお金を使ってきて、自分のために使うことに慣れていないのかもしれません。
旅は、自分へのお金の使い方を練習する場所でもあります。好きな宿を選ぶ。食べたいものを食べる。行きたい場所に行く。それだけでいいのです。誰かに許可をもらう必要はありません。
ひとり旅の予算の目安(国内・1泊2日):
・宿泊費:1万〜3万円(温泉旅館なら1〜2万円が目安)
・交通費:新幹線なら往復1〜3万円程度
・食事・おみやげ:1〜2万円
合計3〜7万円あれば、ゆったりとした旅ができます。
ひとりでも寂しくない旅の選び方
ひとり旅で寂しさを感じやすいのは、食事のときと夜です。この2つを意識して旅先を選ぶと、ぐっと楽になります。
①温泉旅館のひとり旅
最近は「おひとりさまプラン」を用意している旅館が増えています。夕食・朝食付きの旅館なら、食事のたびに一人でレストランを探す必要がなく、部屋でゆっくりできます。温泉にゆっくり入って、おいしいものを食べて、何もしない時間を過ごす。それだけで十分な旅になります。
②旅先で「話せる場所」を探す
地元の喫茶店、旅館のフロント、観光案内所。旅先には、声をかけやすい人がたくさんいます。「どこかおすすめはありますか?」のひと言から、思いがけない会話が生まれることがあります。旅先での出会いは、日常の寂しさを少し和らげてくれます。
③「何もしない」を目的にする
観光スポットをたくさん回る旅でなくていいのです。海の見えるベンチに座ってぼーっとする。喫茶店で本を読む。温泉に何度も入る。「何もしない」ことを目的にした旅は、心の疲れをとってくれます。
50代・60代のひとり旅におすすめの場所
京都・奈良:ひとりで歩くのに向いている街です。お寺や神社を静かに巡るだけで、不思議と心が落ち着きます。おひとりさまOKの旅館も多く、食事も充実しています。
箱根・伊豆:東京・名古屋・大阪からのアクセスが良く、日帰りでも1泊でも楽しめます。温泉と自然の中で過ごす時間は、日常の疲れをリセットしてくれます。
金沢・富山:北陸新幹線で行けるようになり、アクセスが便利になりました。食べ物がおいしく、街歩きが楽しい。ひとりでも十分満喫できる場所です。
長崎・鹿児島:少し遠いけど、非日常感が強い場所に行きたいときにおすすめ。歴史ある街並みと、南国の空気が気分を変えてくれます。
ひとり旅に持っていくと便利なもの
荷物は少なめが鉄則です。ひとりで運ぶので、スーツケースより軽いキャリーバッグやトートバッグが向いています。
・モバイルバッテリー(スマホが頼りになります)
・イヤホン(移動中の音楽や動画に)
・折りたたみ傘(天気が変わりやすい)
・常備薬(胃薬・頭痛薬など)
・旅行用の小さなポーチ(貴重品管理に)
旅から帰ったあとのこと
旅から帰ると、家が少し違って見えます。「あ、悪くないな」と思えることがある。旅の一番の効果は、戻る場所のよさを再確認できることかもしれません。
寂しさはなくならないかもしれません。でも、旅をすることで、寂しさと少し違う向き合い方ができるようになります。「寂しい自分も、旅に出られる自分だ」と思えるだけで、何かが変わります。
50代・60代は、自分のためにお金と時間を使っていい年齢です。旅に出る理由は「楽しみたいから」だけじゃなくていい。「気分を変えたいから」でも、「ただ動きたいから」でも十分です。どうか、自分に許可を出してあげてください。
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