【新しい友人、離れる友人、ずっと友人】

自由に

〜60代になって見えた人間関係の「距離感」と「境界線」の真実〜


目次

  1. はじめに:時を重ねて思う、友人関係の変遷
  2. 友情の違和感の正体──「ヒガミ」や「妬み」について
  3. 「自分の話はしない方がいい」と言われた悲しい現実
  4. 人生のステージごとに変わる友人たち
  5. 「一人もいい」と思えるようになった心の変化
  6. 結論:距離感が教えてくれる「境界線」の大切さ

1. はじめに:時を重ねて思う、友人関係の変遷

現在、私は60代。
人生の大きな区切りをいくつも超え、今、改めて「友人」という存在について深く考える時間が増えました。

若い頃は、いつも誰かと繋がっていることが喜びであり、時には“価値”だと感じていたかもしれません。
しかし、時が過ぎ、人生の様々な局面を経験するにつれて、友人関係の形は驚くほど変化していくものだと実感しています。

新しい出会いがある一方で、自然と離れていく人がいる。
そして、奇跡のようにずっと繋がっている友人もいる。

私の人生における人間関係の変遷は、まさに「新しい友人、離れる友人、ずっと友人」というこのタイトルに集約されています。


2. 友情の違和感の正体──「ヒガミ」や「妬み」について

この年齢になって感じるのは、友人との付き合いの中で「苦しい」と思う瞬間がある、ということです。
決して人付き合いが苦手なわけではありません。むしろ、人と関わることは好きな方です。
それでも、なぜか心をすり減らしてしまうような、違和感を覚える関係性があります。

その違和感の正体は、人間の持つ「ヒガミ」や「妬み」といった感情にあるように思います。

家族のこと、子どもの進学や就職、夫婦のあり方、仕事の成功や旅行の話など──
私たちの人生には、たくさんの「幸せな出来事」があります。

ところが、その話をすると、相手の表情がどこか曇ったり、さらっと聞き流されたりすることが少なくありません。
一方で、不幸な話や失敗談には食いつきがよかったりもします。

他人の不幸を願っているわけではないにしても、他者の「うまくいっていない」話を聞くことで、自分の現状に安堵したり、優越感を得たりする心理。
これは、悲しいけれど現実に存在する人間の感情です。


3. 「自分の話はしない方がいい」と言われた悲しい現実

ある人から、「自分の家庭の良い話はしない方がいい」と言われたことがあります。
最初は信じられませんでしたが、経験を重ねるうちに「たしかに…」と思うようになりました。

特に日常的に接するご近所やママ友の関係では、無意識のうちに「探り合い」になることがあります。
なぜ人は他人の状況を知りたがるのか。
それは、比較したいからかもしれません。

他人と比べて「自分は平均より上か下か」を測ることで、安心したり落ち着いたりする。
しかし、そこから生まれるのは優越感と劣等感の往復であり、心地よい関係ではなくなります。

だからこそ私は、自分の心を守るために、
「パーソナルな領域」を深追いしない。
そして、自分自身のことを軽々しく話しすぎない。

そんな小さな境界線を意識するようになりました。


4. 人生のステージごとに変わる友人たち

人生のステージが変わるたびに、友人関係も変化してきました。

10代は学校での密な友情。
20代は仕事や新しい世界での出会い。
30〜40代は家庭と子育てを通した繋がり。
50代では少しずつ自分の時間を取り戻し
そして60代の今は、趣味や価値観で繋がる新しい出会いが増えています。

常に友人が入れ替わってきた、と言っても過言ではありません。
それでも、10代や20代から変わらず続いている友情があるのは本当に幸せなことです。

お互いの人生の浮き沈みを見守り合い、成功も失敗も分かち合える。
気を使わずに、ありのままの自分でいられる。
そんな関係こそ、人生の宝物だと思います。


5. 「一人もいい」と思えるようになった心の変化

かつては「友達が多いこと=良いこと」だと思っていました。
でも今は、無理に合わせたり、疲れる関係なら距離を置く方が自分らしいと感じます。

「辛い友達ならいない方がいい」と思えるようになったのは、
何かに夢中になれるもの──私の場合はハンドメイド──に出会えたからです。

好きなことに没頭できると、他人との関係に依存する必要がなくなります。
自分の内側が満たされていると、他人の言葉にも振り回されません。

一人で過ごす時間は、孤独ではなく「自由」。
自分のペースで旅に出たりもいいなとも思いますし、ハンドメイド作品を作ったりと。
今ではその時間が、いちばん心地よいひとときです。


6. 結論:距離感が教えてくれる「境界線」の大切さ

人生を重ねた今、人間関係で最も大切なのは「距離感」だと感じます。

苦しいと思う関係は、無理に続けなくていい。
少しずつ連絡を減らし、誘いを断り、物理的・精神的に距離を取る。
それは「嫌いになった」からではなく、「自分を守る選択」です。

他者と自分の間に引く“境界線”を意識することで、
本当に大切にしたい人たちとの関係は、より深く、長く続いていきます。

新しい友人との出会いを楽しみながら、
離れていった友人には静かに感謝を送り、
ずっと友人でいてくれる人たちを心から大切にする。

60代になった今、私はようやく、人間関係の真の豊かさとは何かを理解し始めた気がしています。
そしてこれからも、心地よい距離感の中で人との繋がりを楽しんでいきたいと思います。

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