目次
- はじめに
- 20代の私──世間知らずで必死だった日々
- 通勤電車での出来事
- 結婚と退職、そして自分を失った時期
- 今の私──自分の時間と生きがい
- 年代ごとの自分に伝えたいこと
- 同じ60代を生きるあなたへ
本文
1. はじめに
ふと、昔の自分を思い出すことがあります。
若かった頃は「もっと頑張らなきゃ」と背伸びばかりしていた私。
常に人に合わせ、無理をしてでも「ちゃんとした大人」に見られたくて、心のどこかで息苦しさを抱えていました。
でも今は、無理をせず、心地よいペースで生きることを覚えました。
変わったこともあれば、変わらない想いもあります。
今日は、そんな「昔の私」と「今の私」を、少しだけ比べてみようと思います。
2. 20代の私──世間知らずで必死だった日々
20代の私は世間知らずで、大手の会社に入ったものの、そのありがたみや意味をきちんと理解していませんでした。
ただ「ここにいれば安心」という漠然とした感覚だけで働いていたのです。
仕事中は、先輩からいじめを受けないようにすることが第一目標。
後輩ができると、彼らの愚痴や悩みを聞きながら、どうやったら先輩からのいじめを避けられるかを一緒に考えていました。
休憩時間には、こっそり書庫にこもって話し込む──そんな日々が、今となっては懐かしい思い出です。
そして何よりも、私が分かっていなかったのは、「結婚すれば会社は辞めるもの」だと、あまりにも軽く考えていたこと。
キャリアも、将来の生活設計も、ほとんど意識せずに、ただ流れに身を任せていました。
3. 通勤電車での出来事
仕事の思い出以上に鮮やかに残っているのが、通勤電車での出来事です。
あの頃の私は、痴漢に遭うことも珍しくありませんでした。
今なら大問題ですが、当時の私は「これくらいはよくあること」と思い込み、誰にも話さず、黙ってやり過ごしていました。
電車の椅子は向かい合わせで、足を置くスペースが狭く、向かいに座った人の膝が当たることもしょっちゅう。
気がつくと相手の股の間に私の足が挟まっていたり、満員電車ではお尻に後ろの人の体がずっと当たっていたりしました。
帰り道では、降りる駅までついて来られたり、座って寝ている私の手を触られたり…。
「どこで降りますか?」「お茶しませんか?」と手を握られたこともあります。
その度に、ゾッとする気持ちを抱えながら、車両を変えるなど工夫をしていました。
あの頃の私は、怖さよりも「面倒なことになりたくない」という感情が勝っていたのかもしれません。
今では笑い話にできますが、若い女性としての危うさを無自覚に抱えていた時期でした。
ちなみに、今は誰も触ってきません(笑)。
4. 結婚と退職、そして自分を失った時期
結婚、妊娠を経て退職した私は、当初はその決断を後悔していませんでした。
「これからは家庭を支えるのが私の役目」と思い込み、迷いもなく専業主婦としての日々を始めました。
しかし現実は、家計が厳しく、夫の言う通りの暮らしを続けるだけの毎日。
気がつけば、自分の意見や意思を持たない人間になっていました。
「私がどうしたいか」よりも「夫がどう思うか」が優先される生活。
それは、じわじわと私の心を蝕んでいきました。
5. 今の私──自分の時間と生きがい
そんな私も、60代を迎えた今は、すっかり変わりました。
自分の時間を優先し、趣味のハンドメイドに没頭できるようになったのです。
ミシンの前に座ると、時間を忘れるほど夢中になり、作品が完成した瞬間には大きな達成感があります。
また、興味の合う人たちと会話を楽しんだり、お金の勉強をして将来に備えたりと、やりたいことは尽きません。
「今まで失ってきた自分の時間を取り戻すぞ」という気持ちで、毎日を生きがいと共に過ごしています。
それでいて、肩の力は抜いたまま。がむしゃらではなく、心地よく続けられるペースを大事にしています。
6. 年代ごとの自分に伝えたいこと
もし、20代、30代、40代、50代の自分に会えるなら、こう言いたいです。
「もっと自分を大事にしていいんだよ。人の顔色ばかり見なくていい。あなたが笑顔でいることが、一番周りを幸せにするんだから。」
当時の私は、周囲の評価や立場でしか自分の価値を測れませんでした。
でも今は、自分の心が満たされることこそが、本当の幸せだと知っています。
この気づきが、今の私の生き方を形作っています。
7. 同じ60代を生きるあなたへ
もし今、「やりたいことがわからない」「自分の時間がない」と感じている方がいたら、焦らないでください。
60代からでも、やりたいことは見つかりますし、新しいことを始めるのに遅すぎることはありません。
肩の力を抜きながら、自分のペースで、残りの時間を思いきり楽しみましょう。
60代は、まだまだ新しい人生のスタートラインです。
一緒に笑って、挑戦して、日々を大切に過ごしていきましょう。


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