60代の今、静かな老化に備える三つの準備
はじめに:突然の「減速」—— 60代、静かな老化の始まり
私は今、60代です。
ついこの前まで、苦しいボクシングの練習にも耐え、筋肉に溢れ、階段は駆け上がり、何をどれだけ食べても太らない——そんな“元気な50代”を謳歌していました。
「この先、自転車に乗るのがしんどい日なんて来るのかな」と、笑っていたほどです。
けれど、その「まさか」は静かに、そして確実にやってきました。
何気ない階段で「サクッと動かない」感覚。
靴を履くとき、少しバランスを崩しそうになる瞬間。
大好きだった硬いお肉が美味しく感じなくなり、少量でお腹がいっぱいになる。
そして気づけば、やわらかくて甘いあんこが恋しくなる——。
かつて「なんてことなかった」歩行や自転車移動が、今では少し“しんどい”。
これが、私の体に起きている 「静かな老化」 の現実です。
この老化は本当に悲しいです。
60代は、80代という最終コーナーに向けて、自分の生き方をデザインし直す大切な時期がやって来ました。
静かな老化を受け入れ、少しずつ準備を始めることで、未来の「快適さ」は大きく変わるはずです。
私は今、80代の自分に向けて、次の三つの準備をしています。
目次
- 体の変化を受け入れ、戦略的に「今」を維持する
- お金との向き合い方を変える —— 子供のためより自分のために
- 身軽になるための「断捨離」と「終活の会話」
- おわりに:静かにおとづれる老化は、人生をデザインし直すチャンス
第一章:体の変化を受け入れ、戦略的に「今」を維持する
1. 50代の「戦う体」から、60代の「守る体」へ
ボクシングで鍛えた肉体は、いつの間にか“筋肉の鎧”ではなくなりました。
今の私にとって大切なのは、「体力を守る」こと。
無理に若い頃のように戻ろうとするより、“落とさない努力” をコツコツ積み重ねる方がずっと意味があります。
激しい運動より
「毎日少しのストレッチ」「軽い階段の上り下り」——このくらいの“最小限の負荷”が、丁度いいです。
2. 「食べたい」より「食べねば」:食の質を見直す
昔のように量は食べられません。
でもその分、「少ししか食べないなら、本当においしいものを」と考えるようになりました。
肉はあっさりしたミンチに変え、野菜をたっぷり加える。
“無理なく栄養をとる”食べ方を工夫しています。
「美味しく食べながら、体を守る」——それが今の私のテーマです。
3. 「少しの習慣」を続けることの意味
今では、壁を使った軽いキックや、数段だけの階段上りなどを日課にしています。
昔のように「鍛える」ためではなく、「現状を維持する」ための運動です。
「こんな少しで意味あるの?」と思うこともありますが、
この“少し”の積み重ねこそ、80代の「自立した生活」を支える力になると信じています。
第二章:お金との向き合い方を変える —— 子供のためより自分のために
1. 「残すため」から「使うため」へ
以前は「子供のために残してあげたい」と思っていました。
けれど今は、「自分のために、楽しく使おう」と思うようになりました。
それを教えてくれたのが、リベシティでの学びです。
お金は、楽しむための道具。
子供に残すよりも、自分が笑顔で過ごしている姿を見せることが、
本当の“安心”を与えると気づいたのです。
2. 自分への「ご自愛投資」
食べること、旅すること、趣味に使うこと。
これらはすべて、“未来の自分のための投資”です。
贅沢ではなく、「ご自愛投資」。
人生の満足度を上げる、必要な支出だと思っています。
3. 2泊3日の「ご褒美ソロ旅」計画
「たまには一人で2泊3日の旅に出ようかな」
そんな気持ちも芽生えました。
誰にも気をつかわず、自分のペースで景色を見て、美味しいものを食べる。
この時間は、これまで頑張ってきた自分へのご褒美です。
子供たちが巣立った今、自分のために過ごす時間を大切にしたいと思っています。
第三章:身軽になるための「断捨離」と「終活の会話」
1. 物と一緒に「重荷」を手放す
家にあるたくさんの服やバッグ。
それらは少しずつ、未来の自分や子供たちへの“重荷”になります。
まずは「10年着ていない服」を手放し、次に「5年着ていない服」へ。
クローゼットが軽くなると、不思議と心も軽くなります。
断捨離は、過去への執着を手放す時間でもあるのです。
2. 仏壇とスーツケースの整理
次は、古いスーツケースや使わなくなったバッグ、
そして最終的には仏壇の整理にも向き合うつもりです。
感情の整理も必要ですが、これもまた“未来の私を軽くする作業”。
元気なうちにできる準備こそが、子供たちへの優しさだと思います。
3. 子供に伝える「介護施設のこと」
一番大切にしているのは、子供たちとの「終活の会話」です。
いつも話しながら泣きそうになる私ですがこう伝えています。
「お母さんの介護費用は確保してあるからね。
介護が必要になったら、迷わず施設に入れてね。」
それは、子供たちに「介護の責任」を背負わせないための、
親としての最後の思いやりです。
老いを受け入れ、家族と共有しておくことで、
みんなが安心して生きていけると信じています。
おわりに:静かな老化は、人生をデザインし直すチャンス
静かな老化は、誰にも訪れます。
でもそれは、人生が終わるサインではなく、
見直すチャンスの合図です。
「サクッと動かない体」
「少食になった胃」
「甘いものが好きになった自分」
——それらすべてを、やさしく受け入れていきます。
80代に向けて、体もお金も心も整える。
それは、自分を大切に生きるための“再設計”です。
今日も、少しだけ階段を上り、
クローゼットの服を一枚手放し、
そして美味しいものをひと口、味わって。
静かに、でもしなやかに——
私の新しい60代が始まっています。


コメント